大学の入学式で髭剃りを配る
先日マーケティングセミナーで、「ポイント・オブ・マーケット・エントリー」という言葉を知りました。たとえば、世の男性が髭剃りを使い始めるのは高校卒業あたり。カミソリ派と電動シェーバー派に勢力は二分されているらしいのですが、あるカミソリメーカーは髭剃りの習慣が始まる時期に照準を合わせて、全国の大学の入学式でカミソリと刃のセットを配布するのだそうです。ターゲットとする消費者が市場に入ってくる時期に焦点を絞るマーケティング活動を「ポイント・オブ・マーケット・エントリー」と呼ぶらしいのですが、この言葉を知ってみると、座談会で何気なく聞き流していた発言が、急に意味を持って立ち上がってくるから不思議です。
福袋は日本茶生活スタートのきっかけ?!
「お正月に、なんか和の女子力高めたくてテナント3社のお茶屋さんの合同福袋を買ってみた!」最近の座談会の発言ですが、これって福袋は年の初めに新しい和テイストの習慣をスタートさせるスイッチなのかもしれない、ということじゃないですか? 過去には、家庭の中で自然と伝承されていた日本茶ですが、今や「わざわざ(コーヒーから)日本茶に変えるきっかけを売る側が提案する」という余地があるのかもしれません。とすれば、福袋は「在庫処分をお得な価格で」というアイテムではなく、「新年に日本茶生活をスタートするきっかけアイテム」に進化できる可能性があります。
「上京して社会人生活をスタートする孫に急須をプレゼントしたい。お金をあげる方が喜ばれるだろうけど、おばあちゃんとしては、会社でお茶も淹れられずに孫に恥をかかせたくない」この発言は、新入社員になるタイミングは、急須でお茶を淹れるくらいの最低限の嗜みを持ってもらうチャンスということ?このおばあちゃん、「急須は、お祝いって感じにラッピングするセンスが期待できなくて残念」と発言した後に、当社の急須を贈りたくなる箱を見て、テンションを上げてくださいました。「段ボールにホッチキスが見える箱では、社会人の嗜みという言葉が説教臭く聞こえちゃうのよ。これなら大丈夫!」
ポイント・オブ・マーケット・エントリー
そして!! 妊娠と出産は、日本茶にとってすごく大きな「ポイント・オブ・マーケット・エントリー」。カフェインが怖くて、コーヒーをやめる女性は沢山いるので、ここに国産アイテムである焙じ茶を取り入れていただくように仕掛けることは、後々の子育て時期にもつながるとても有効なチャレンジだと思います。
「あんまり市場を絞ると、お客様が逃げていく」「うちの客層と合わない」という声が聞こえそうですが、実際に焙じ茶で成功されているお茶屋さんは「絞った方が専門性が出て商圏が広がる」「夜はお茶を控えていたという常連の年配者がギフトに焙じ茶を選ぶなど、自分の想定外のことが起こった」とおっしゃっていました。
そういえば、福袋で「低カフェインの福袋」が好調だった、というお話を複数のお茶屋さんからいただいています。「お茶は飲み継がれない」という前提で、どういうきっかけで日本茶生活にエントリーしてもらうか、と考えると、新しい切り口が生まれそうですね!