どうして「お茶はお茶屋さん」?

スーパーとのちがいは?
「やっぱりお茶はお茶屋さん。」というフレーズを口にする人に、「どうして?」と突っ込むと「そりゃそうでしょ。」という風に返されることが多いです。「死んだおばあちゃんがお茶はスーパーで買うもんじゃない、と言っていた。」とか「なんとなくそういうイメージがある。」という感じで、「こんなところがスーパーとは違う。」という具体的な話が出来る人はごく少数。逆にスーパーの棚段で購入する人は「ついでに買えて便利。」「いくら安いのを買っても恥ずかしくない。」「思う存分迷える。」等、具体的な理由が挙がります。

お茶屋さんでうれしかったこと。

角度を変えて「お茶屋さんでうれしかったこと。」を聞いてみると、色々出てきて面白い。「試飲のお茶がおいしい。」に続いて興味深いのが「色々教えてくれる。」ということ。どんなことを教えてもらっているのかと聞くと、結構他愛ないことで消費者は「目からウロコ」になっています。たとえば

  1. 試飲のお茶を飲んで、下に溜まったどろっとエキスを残そうとしたら、店員さんが「これを手の甲につけるとツルツルスベスベになりますよ。」と言って実演して見せてくれた。ハンドクリームだと痒くなるのだが、「天然自然のお茶だから安心のケアだ」と教えてくれた。
  2. 試飲のお茶を注ぐときに何回にも分けて行ったり来たりして注ぐ。「なんか意味あんの?」と思って見てたら、「これで濃さが同じになる。」と言われて「理にかなってる!」と感動した。
  3. 下に沈むどろっとしたところを試飲の時残したら、「最後に湯呑みで円を描くように廻すとキレイに飲める。」と教えてくれた。家で湯呑みを洗う時にラクになったし、何よりもお茶葉の栄養をいただいている感じが気に入っている。
  4. 試飲のお茶を目の前で淹れてくれて、「お湯を注いで1分待ちます。1分と思ったところで手を挙げて。」と言われた。「そろそろ1分!」と思って手を挙げたらまだ40秒で、浸出時間が足りなくて自分はおいしく淹れられないことが実感できたので、それから緑茶の達人になった。
  5. 「いただきものの玉露は美味しくない。」と話したら、「いつもの倍の茶葉を急須に入れて氷を入れて一晩冷蔵庫に入れる。翌朝飲んでごらん。きっとおいしいよ。」と教えてくれた。試したら本当においしかった。

専門店は「体験するところ」。
消費者の話を総合してみると、「袋に入れたお茶をただ並べて売っているお茶屋さんは、スーパーの棚段以下。(だっていくら安いのを買っても恥ずかしくないというような自由度はスーパーに劣るのですから!)」ということになりますね。
専門店は、お茶に関して「目からウロコ」の体験をさせてくれて初めてスーパーの棚段との差別化が出来るのだと思います。難しく考えずに、ちょこっと実践出来るお茶の豆知識やおいしいお茶の淹れ方を「教える」のではなく「体験していただく」ということがポイントかも知れません。