ひとりで飲むお茶。

上質の日本茶は来客と自分のために。      

先日のグループインタビューでは、毎日必ず急須でお茶を淹れる女性(30代~40代)に出席していただきました。皆さん、湯呑みで湯冷ましされてから急須に注ぐ日本茶好き。それなりに日本茶への愛が感じられる(笑)座談会でした。
意外に思ったのは、日本茶をコミュニケーションの道具として家族で楽しむのと同じくらい、「一人でゆっくり飲むのが幸せ」という発言が目立ったことです。
子どもが寝静まった後で、ゆっくり日本茶を淹れる。茶葉を量るのも、茶器を温めるのも、その手順も含めた時間が好き‥。
家で仕事をしているので、一日中日本茶を一人で飲んでいる。後味が快いのが魅力‥。
どちらかというと、上質の日本茶は、家族のためよりも、お客様か自分へのご褒美として存在するようです。

 


 一人分をおいしく淹れるコツ。

その中で一つ質問がありました。「2~3人分の日本茶はおいしく淹れられるけれど、一人分は今一つおいしく淹れられない。茶葉の分量とか浸出時間とかどこかでポイントをはずしていると思うのだけど、原因がわからない」
同席されていたお茶屋さんが、「茶葉は一人分2g強。ポイントは急須から湯呑みに入れる時に一気に注がず、複数の湯呑みに注ぎ分けるような感じで淹れること」と説明されて、モニターさん一同、深く納得していました。
考えてみると、お茶の袋やしおりにある「おいしいお茶の飲み方」は、2~3人を対象にしているのがほとんど。一人で飲むというシチュエーションは想定していませんよね。いかに私たち茶業界の人間が、「家族団欒と日本茶」という固定概念に縛られているか、と反省しきりでした。