クラウドファウンディングと日本茶ドリッパー

沈殿抽出式という淹れるプロセス

 「刻音(ときね)」。沈殿抽出式日本茶ドリッパー。2年の歳月と500回を超える試作の上で、できあがった茶器です。完成後、お茶屋さんに向けてモニターを募り、順番待ちが出るほど、多くのお茶屋さんがモニターに参加してくださいました。
けれど、大半の感想は「モノは面白いが、うちのお店では売りにくい」「うちのお客様には合わない」というもの。これは購入してはいただけないな、と行き詰まり、クラウドファンディングに挑戦しました。初日に目標額を突破し、この原稿を書いている今、5日で811% 455人の応援をいただきました。(https://www.makuake.com/project/tokineteadrip/)
ダイレクトにいただくメッセージは、座談会に並ぶリアルな消費者情報ですね。まず熱量が高いメッセージをそのままご紹介します。

朝は渋茶リスクが高い

 この茶器、まさに私が欲しかったスタイルだったので、震えました~。
長年一緒に暮らしていた母が他界してからというもの、お茶を入れてくれる人がいなくなり、めっきり日本茶を飲む機会がなくなっていたところ、ここ数年は、友人がオーガニックの茶葉をパウダーにして海外輸出向けに販売しているものを教えてくれて、それを飲んでいました。が、それも手に入らなくなり、昨年からお茶と縁遠くなっていたのです。で、人から貰った茶葉を消費するために、本当に久しぶりに家の急須でお茶を入れるようにはなったのですが、日本茶の茶器って、お湯のみに出すまで色を確認したりすることが出来ないんですよね~、で、朝の超忙しい時間に化粧しながら入れたりすると、置きすぎて出すぎてしまい渋茶になっちゃったりするとが良くあり、折角の美味しいお茶も美味しい状態では飲めないことが多かったのです。
この「刻音」だったら、コーヒーのように淹れることが出来る~!!!
色の具合も確認出来るし、茶葉を浸けすぎにすることもない!!
これなら2杯目も美味しく淹れられて。。。なんて素晴らしいアイディア!!!
早速ポチしました!!本当にありがとうと言いたいで~す。

「刻音」購入者でイベント?

 ほかにもご紹介しきれないメッセージ。「コロナでリモートワークが多くなり、コーヒーマシンを購入したが、これが届いたらドリップ男子に曲がりたい。抽出のプロセスを楽しめるのが秀逸」「一目で気に入りました。ドリップした日本茶を飲みたいと思いました。この刻音は、茶道のように嗜みたいですねぇ~ 購入した人達を集めて、オンラインイベントで、刻音道をお願いしたいです」「“チームを組んで2年。”ここにグッときました。当方、新製品開発に携わる機会が多く、この苦労がとてもよくわかり・・・先が見えない感覚などが思い出され、短い文節に凝縮された熱意などが伝わってきました。このプロジェクト、ひいては会社の思想が実現することを陰ながら応援しております」
「お茶を淹れる時間そのもの」に対する深堀りをすること。なぜお茶の時間を届けたいのか、という想いへの共感。アプローチの可能性は無限大と感じています。