セカンドラインを創る


ヘビーユーザーの付き添い役の財布のひも?!
春の内覧会が、残すところ3月7日のみとなりました。1月の鹿児島から、福岡、静岡、東京、京都、仙台とまわる旅の最終ステージです(笑)。
今回の「商売のタネ講座」のメインテーマは「セカンドライン」でした。セカンドラインというのは、アパレルブランドが若者向けに少し購入しやすい価格帯のブランドを作ることに由来しています。大阪のお茶屋さんが『看板茶のヘビーユーザーが高齢化しており、ヘビーユーザーに付き添って来店する世代が自分の財布を開かない。なんとか彼女たちが自分の財布のひもを緩めるように仕掛けたい』『自店の若いスタッフが看板茶の美味しさを知っていながらパッケージのカワイイ紅茶ブランドをプレゼントに選ぶことに落胆。なんとか自店の商品をプレゼントさせたい』という一心で、当社の既製品を使ってダダーッと400円から600円のラインを作られた時に名づけたのが「セカンドライン」です。
看板茶は触らない
ポイントは、『総額としては低価格だがグラム単価は高いクオリティ』『看板茶はセカンドラインに入れない』『種類を多くして選ぶ楽しみを与える。季節はその中のアイテムをアレンジして対応する』というもの。店の入口の目立つ場所に大きな面積で売り場があるのは「ヘビーユーザーは店の奥でも平気で入れるけど、初心者は怖くて入れない」から。あなたにも買えるアイテムがここにあるよ、怖くないよ、と店先でささやくのがセカンドラインの役割の一つということですね。
季節ごとの売り場、というのは、セカンドラインを確立してしまえば、それを基本にシールや帯でアレンジすればいいのだそうです。たとえばパーソナルギフトが最も動く3月・4月の出会いと別れの季節は「桜」の帯やシールを足す、母の日には「いつもありがとう」の帯やカーネーションのしおりで飾る、父の日には…という風に、同じ商品を少しアレンジして季節に対応していくイメージです。
座談会で実際に帯やシールやしおりを用意して、「カスタマイズ自由」という売り場を作ってみると、半分くらいの人がハマります。どちらかというと若い世代、手づくりが好きで、日本茶好きになるためのベースである「暮らしを大切にする」タイプです。プラスワンアイテムが選べるカスタマイズコーナーを作ることで、もしかするとハンドメイド派をお客様に出来るきっかけが作れるかもしれません。
伝える、伝わる心構えと立ち位置
セカンドラインは、お茶はペットボトルだと思っている人達に向けたものです。ですから、商品を訴求する時に、急須で飲むことと比べてはいけません。急須で飲むことを基準にすると、ティーバッグは「ポイ捨てカンタン」になりますが、セカンドラインの人達から見ればペットボトルと違って捨てるモノがある。ひと手間かけて水筒にティーバッグと水と氷を入れて出掛けるのは「手づくり」なんです。また急須と比べるから「味が落ちる」となりますが、セカンドラインの方は色がきれいで香りがするというメリットになります。「割高」というのも急須で淹れる茶葉と比べるから出るセリフですが、2煎目も淹れられるし、使用後はキッチンのシンクをこすったり、沢山飲んだ時はお茶風呂にしたりと再利用が出来ることで「リーズナブル」と評価されます。
セカンドラインの人は、ペットボトルのお茶が日常茶飯で、急須で淹れるお茶は日常ではありません。日常茶飯でないということは、食費ではない、福利厚生費か交際費なのです。そこを常に心に置いて、お店で一つ、セカンドラインを仕掛けることに挑戦していただけたら嬉しいな、と思います。