ヘンゼルとグレーテルの白い石

▼ 土俵のちがいを意識する

先月、静岡で開催されたシンポジウムで、静岡県立大学の岩崎助教授が面白い報告をされていました。東京都・神奈川県在住者900人に、「急須でいれるお茶と聞いて思い浮かべる言葉」「ペットボトルのお茶と聞いて思い浮かべる言葉」をそれぞれ自由記述していただいたアンケート結果です。どんな答が多いと思いますか?
当社の営業に同じ質問をしたところ、急須の方は「おいしい」「濃い」「茶葉」という答が多かったのですが、実際は「ひと息」「一服」「なごみ」「くつろぎ」という答が上位。一方ペットボトルのお茶は「カンタン」「手軽」「健康」「すっきり」という答が上位で、結果両者の土俵はちがうので、茶専門店は「くつろぎ提供業」という風に土俵をズラして戦うことが大切、というお話でした。

▼ 発想の転換で再発見

その思想に深くうなずきながらも、長年グルインをしてきたハシモトは、ペットボトルは別物と割り切ってしまうのではなく、その人気や知名度を急須で入れるお茶に繋ぐような橋渡しの商材がもっとあるといいなあ、と思えるのです。ほら、童話のヘンゼルとグレーテルが森に置いてきぼりにされても自分の家に戻れるように、点々と白い石を置いたでしょう? そんなイメージで、ペットボトルの緑茶ばかり飲んでいる人がリーフのお茶を急須で飲むための、リーフに導くための商品群です。
たとえば、我が家(一番売りたい商品)が湯冷ましが必要な煎茶だとして、それよりカンタンなのは熱湯で淹れる系のお茶、もっとカンタンなのが水で出すお茶、次がティーバッグ、その次は粉末茶、もっともペットボトルに近いのは空のペットボトルに液体になったお茶をチャージしてあげるサービス!
どうでしょう?そしてそれぞれが一番売りたい商品のネーミングやパッケージデザインとの共通部分を持っていたら?ヘンゼルとグレーテルが白い石を辿って我が家に行き着いたように、リーフの世界に招き入れることができるかもしれません。