まず気持ちを高揚させ、それからお財布のヒモが開く
先日、マーケティングのセミナーで「ライブ感が命?!」というキーワードに出会って、本当にそうだなー、としみじみ思いました。ダウンロードすれば音楽が聴ける、今という時代、いかにライブで盛り上げて関連グッズを購入してもらうか、最初にライブがあって、気持ちを高揚させる仕掛けがあって、初めてお財布のヒモが開く、というお話でした。 その後、お茶専門店さんを訪問した時に、まさに「ライブの魅力」を目の当たりにして、なるほどー、と思いましたので、今回はその報告をさせていただきます。 |
まるでロールプレイング?!
暑い日、そのお店の接茶はシャカシャカ抹茶。「ほうじ茶を2袋」と指名買いする年輩女性に「お暑いですね」と話しつつ、シャカシャカ抹茶を呈茶。「あら、これ、何?」「抹茶なんですよ」「冷たい抹茶なの?へえー、さっぱりしておいしいわね。さすがねえ」「いえ、お恥ずかしいんですが、こんな(と水筒を見せる)ので作れるんですよ。口が小さいからこぼさないように注意が必要だけど、空のペットボトルでも出来るんです」「へえー、どのくらいの分量入れるの?」「(当社の既製品のしおりを差し上げて)ここにも書いてあるように・・・(と淹れ方説明)」「抹茶、おいくらなの?」「今、お飲みいただいているのは○○円ですが、○○円からございますよ」「今のと同じのでやってみるわ」と、まるでロールプレイングのように、お買い上げいただきました。 後でお訊きしたら、試行錯誤する中でつかんだ会話のポイントがいくつかあるそうです。 |
プロの接客はライブそのもの!
まず、お客様から訊かれない限り、こちらから「冷たい抹茶」という種明かしはしない。お店から外へ一度出てから「今のお茶、何ですか?」と戻られる方もいて、そういう方は購入する割合が高いとのこと。お客様の知りたいキモチを刺激して、お客様から質問してもらうように誘導するのがポイント。試飲のお茶を売りつけられると敬遠されないように配慮しているそうです。 次に、家庭的な雰囲気満載の水筒を見せる。また、水筒を買わせられるのでは、と警戒されないように、空のペットボトルでも作れる、ということを必ず一言付け加える。「私でも出来そう」と感じてもらうアプローチです。 しおりは、購入を決定するかどうかの背中を押すアイテム。言葉で淹れ方を説明しても、帰宅したら忘れそう、と心配なお客様に「このしおりを見れば大丈夫」と購入の決断を促します。もちろん、しおりだけもらって抹茶購入に至らないお客様もいますが、そこは種蒔きと割り切る!実際、「しおりを見てシャカシャカやったら、今まで家で眠っていたお菓子作りの時に購入した抹茶を使い切ったから買いに来たわ!」というパターンもあるとのこと。 最後に、試飲のお茶はちょっと背伸びしたら手が届く価格のものを使い、トークではもっと安い商品もあることを説明する。これは、そのお客様のお財布の厚みをイメージしつつ臨機応変に、とのこと。 プロの接客は、個別対応のライブそのもの!茶専門店の店頭の底力に感動しました。 |