お客様からの情報をつなぐ
春の内覧会で、自分たちがビックリするくらい売れたモノがあります。それはティータオル!!春夏カタログのP69-70に紹介しているのですが、パッと見たら「これって風呂敷?!」って感じの風情です。
ところが内覧会の勉強会で「なぜティータオルを扱おうと思ったか?」を少しお話ししたら、お茶屋さんが興味を持ってくださって「現物を触らせて」とか「試しに一枚から買えたらいいな」とおっしゃるのです。
それなら内覧会では一枚単位で販売しよう、と即決めました。色々な柄があるので、ご自分用を一枚選ぶのにも結構迷われて「あー、迷うのも楽しいわー。きっとお店のお客さんもこんな風に楽しんで迷うわねー」と楽しんで選ばれていました。
中には「私、昔からティータオルのコレクションをしているのよ」とか「私の友人はティータオルをこんな風に使っているの」と教えてくださるお客様もいらっしゃって、それを勉強会で「こんな使い方も出来るそうです」と言うと、また興味を持たれる人が増える。静岡内覧会の2日目は、わざわざ実際に使っているティータオルを持って来られて「シンプルにかけて使うだけでも楽しいのよ」と教えてくださる。経年変化したティータオルの風情もまた素敵で、そんな「洗濯機でガラガラ洗えるし、くたっとなった風情もまたいいって教えていただきました」とエピソードを伝えると、また手にとる人が増える。そんなプラスの循環が起こりました。
リアル店舗にしか出来ないこと
これって、カタログやWEBの中では起こせない、リアルな出会いの場の力だなー、と思います。便利にネットで何でも手に入る世の中、目的買いなら店に行く必要はなくなっているのかもしれません。
でも、人は共感したいし、素敵なものに出会いたいし、新しいことを知りたいし、ワクワクしたい。ティータオルについて、こちらの情報は完璧でなくても、お客様の声に耳をすまして、それを次のお客様につないでいく。実際に手にして質感を確かめたり、肩にかけたり腰にエプロンのように巻いて自分が使っているイメージを膨らませる。リアル店舗にしか出来ないことって、まだまだたくさんあるなあ、と可能性を感じました。
「なぜ扱おうと思ったのか」が響く
ちなみに、ティータオルを扱おうと思った理由ですが・・・・
消費者の座談会に『私はとても日本茶が好き』というおしゃれな独身女性が参加されたんです。その女性は、『日本茶に罪はない。販売する店に提案力がないから日本茶がかわいそう』と力説!『急須も湯冷ましも湯呑みも茶缶も店の中でバラバラにしか置いていないけれど、もっと素敵な日本茶ティータイムセットを提案すべき。カゴにティータオルを敷き、白磁の急須・ドレッシングを注ぐような片口の湯冷まし・シンプルな湯呑み・スタイリッシュな茶缶・粋なコースターを自分はセットにして、それをお客様が来るとリビングテーブルにどんと置いて友人の前で日本茶を淹れる。友人たちはどこで買ったのか教えて、素敵、と絶賛してくれる。お茶屋さんは試飲のお茶を陰でコソコソ淹れるけれど、堂々と素敵に目の前で日本茶を淹れるティータイムセットの提案こそがんばるべき!!コーヒーは淹れている時間が素敵だという提案が上手なので、そこをお茶も強化して!』とおっしゃいました。
この座談会までティータオルの存在すら知らなかった私たち。急遽調べて商品化したのですが、モノの説明よりも、「なぜ吉村がティータオルを扱いたいと思ったか」というストーリーこそが、お茶屋さんが興味を持つきっかけになったのです。ティータオルの品質や製造方法よりも、買う理由になった。これはリアルな店舗だからこそ参考にしていただける、興味を喚起する伝え方なのかもしれません。