ダブルウォールグラスに緑茶
ダブルウォールグラスが、驚くくらいよく売れています。二重になっているから水滴がつかない。温かい飲み物を入れたときに熱くない。そういう機能的な利点もありますが、一番の理由は「お茶の水色(すいしょく)がきれいでインスタ映えする」というところだそうです。
煎茶のステキさを伝えようとした時に、味や香りは現物がなければ伝えられないけれど、緑の透明感ある水色の美しさは画面越しにも伝わる。対面が難しい時代に、コーヒーとのわかりやすい差として、緑茶の水色は武器ですね。
クリアボトルに緑茶
クリアボトルも若い世代に人気です。保温効果がないのも、常温でからだを必要以上に冷やさないという価値観にフィットする。ここでも「緑茶の色」は美しく映えます。
初めて吉村が出した茶器カタログは「エモい」がテーマです。「エモい」とは心が動くこと。なんとも言い表せない素敵な気持ちになっときに使う若者の俗語なのだそうです。予期せず感動したとき、とりわけ心地いいなつかしさや良質なセンチメンタルに襲われた時に使われるとか。理屈ではなく感覚ですね。
理屈ではなく感情
先日、神楽坂の楽山さんとお話をしたときに、「商品説明は10秒以内」とおっしゃっていました。訊かれていないのに専門知識を教えたくなってしまうけれど、そこはグッとこらえて、動画やポップなどで感じてもらう。理屈で納得させようとすると逃げられるということかもしれません。
消費者座談会で専門店の敷居が高い、とおっしゃるのは、たいがい日本茶の知識がない人です。そういう層には全力で説明するよりも、また次に寄ってみたくなるような「エモい」経験を一つ、感じてもらえたらいいですね。