日本茶を始めるとき
「日本茶、ずっと興味あったんですよ」「日本茶、始めてみようかな」そんな若い世代の子が口にする言葉で今一つ、理解不能で不安になるコトバがありました。
それは「タイパ」。
「タイパ悪い」という思い込み
タイムパフォーマンスという言葉、実は、私ハシモトは、毛嫌いしていました。
タイパとは、かけた時間に対する効果のこと。時間かからない簡単な日本茶に流れそうで、戸越銀座「茶雑菓」の店頭で、茶器を購入してもらって、自分でお茶を抽出してもらおうと考えているスタンスと、対極だと思っていたのです。
つまり、自分でお茶を淹れるのはタイパが悪いこと、と思い込んでいる自分がいたんですね。
先人から続いてきたものへの安心感
今回、昔の海外文学のベストセラーが、文庫本化したら33万部を超えるヒットとなり、出版社も驚いている、というニュースを見ていたら、若い女性が「忙しいので、おもしろくないものを読んで時間を無駄にしたくないんですよ。昔から読み継がれてきたベストセラーなら、万一最後まで読めなくても『大作に挑戦した』ということで納得できるし、かけた時間は無駄にならないという安心感があるから手に取るんです」と話しているのを聞いて、「これかーーーー」と目からウロコでした。
日本茶は「まちがいない」
確かに、タイパと一緒に「まちがいない」という言葉がセットで茶器を購入するときに語られるのです。
つまり、日本茶を始めるのは、流行りものにハマって飽きるよりも、時間をかける価値がある、ということ。「そういう考え方もある」と心に置いておくと、接客のときの対話が深くなるかもしれません。