50代は人生の午後3時?!

団塊の世代の「これからの人生!」グループ・インタビューに導入する自己紹介では、「今ハマッていること」「お金をかけても惜しくないこと」をテーマにお話していただくのですが、今年6月のグルインでは、団塊の世代の発言がなかなか含蓄に富んでいて印象に残りました。
お茶には直接関係がないですが、経済誌等でもよく取り上げられる「消費を支える団塊の世代」の発言を取り上げることで、商品作りのヒントにしていただければ幸いです。

自分の人生を生き直す、という感覚。

静岡の51歳。学校を卒業してからずっと東京の法律事務所でバリバリ働いてきたが、40代後半でどうしようもない壁にぶつかった時「50代は時間でいえば午後3時。まだ陽は高いが急がねばならない。」という文章を読んで、「その通りだ。もう、肩に力を入れてガンバルのはやめよう。残りの人生は自分の好きなことだけして生きていこう。」と吹っ切って、生まれ故郷の静岡に戻り、日本茶・紅茶・中国茶の喫茶店を始めたと言う。
近所の井戸水に煎茶の茶葉を7~8時間浸して作る水出し煎茶に凝ったり、農薬の使用の少ないお茶を捜し求めたり、たっぷりある時間を活かしてゆっくりと生活の細部にこだわることに満足しているとのこと。

犠牲的な人生にさよなら。東京の54歳。昭和と共に夫が他界した一人暮らし。29歳の独身の息子がいるが、同じ町の違うマンションに別々に暮す。「自分だけの生活のリズムを大切にしたい。母親としての犠牲的な役割からはきっぱり卒業しました!」と豪快に笑い飛ばす。楽しみは毎週水曜日のレディースDAYに観る映画。年間60本は観るという。
朝は洗濯機をまわしながら牛乳とトマトとヨーグルトの朝食。食後は気分でビールか煎茶。その煎茶は、朝、夫の仏壇に一煎上げた後のお茶殻(?!)を使って淹れることもあるというから驚いた。「そろそろ仕事を辞めて、もっと自分の人生を楽しみたいな。」と発言していたけど、「自由きままな幸せ」を求める心には際限がないのかも知れない。

離婚だってサバサバ語る。

福岡の50歳。自己紹介で「昨年離婚して、娘は私と、息子は元夫と暮しています。時々4人で食事するのが楽しみです。」ととってもサバサバした様子。25歳の娘と二人の生活は、経済的に厳しく仕事を2つ掛け持ちしたりと大変だが、その合間に友人とお風呂巡りをして疲れた身体を癒すのが楽しみという。お茶は自分だけしか飲まないので抹茶入り煎茶(100g500円)をスーパーで購入。「二煎目は出ないけど、一煎目の色の美しさに癒される。」とのこと。家族という集合体の中で期待される“母”とか“妻”とか“主婦”という役割から解放されて、なんだか伸び伸びと、極めて自然体だった。

大切にしたいのは「自分」どのお話を聞いても「おおっ、下手なドラマよりも現実は進んでいる!」と感動(?!)してしまったワタクシですが、共通して根底に流れているのは「自分を大切にしたい」という感覚でしょうか? まず自分を大切をして、その自分が繋がりたい時に繋がるという感じ。「団欒」は「茶の間」で日常茶飯に行なわれるのではなく、「さあ、団欒をしよう!」と意識して主体性をもって仕掛けるもの。相手も家族と限定されずに友人だったり気の合う姉妹だったり…。そんな時にお茶にはどんな出番があるのかな、色々なことを考えさせられました。